措置法41条の5
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
1 特例の概要
マイホーム(旧居宅)を令和3年12月31日までに売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合に、旧居宅の譲渡による損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。
2 特例の適用要件
この特例の適用を受けるには、次の要件全てに当てはまることが必要です。
⑴ 自分が住んでいるマイホームを譲渡すること。
なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
また、この譲渡には、譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けが含まれ、親族等への譲渡は除かれます。
(注) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件全てに当てはまることが必要です。
イ 取り壊された家屋及びその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること。
ロ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
ハ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
⑵ 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える資産(旧居宅)で日本国内にあるものの譲渡であること。
⑶災害によって滅失した家屋で当該家屋を引き続き所有していたとしたら、譲渡の年の1月1日において所有期間が5年を超える家屋の敷地の場合は、その敷地を災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(住まなくなった家屋が災害により滅失した場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31まで)に売ること。
(注)被災居住用財産に係る譲渡期限の延長等の特例があります(「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて(個人の方を対象とした取扱い)【東日本大震災に関する税制上の追加措置について(所得税関係)】(外部サイト)をご覧ください。)。
⑷ 譲渡の年の前年の1月1日から譲渡の年の翌年12月31日までの間に日本国内にある資産(新居宅)で家屋の床面積が50㎡以上であるものを取得すること。
⑸買換資産(新居宅)を購入した年の翌年12月31日までの間に居住の用に供すること又は供する見込みであること。
⑹買換資産(新居宅)を取得した年の12月31日において買換資産について償還期間10年以上の住宅ローンを有すること。
3 特例の適用除外
(1) 繰越控除が適用できない場合
イ 旧居宅の敷地の面積が500㎡を超える場合(500㎡を超える部分に対応する譲渡損失の金額については適用できません。)
ロ 繰越控除を適用する年の12月31日において新居宅について償還期間10年以上の住宅ローンがない場合
ハ 合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合(その年のみ適用できません。)
(2) 損益通算及び繰越控除の両方が適用できない場合
イ 旧居宅の売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係(生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係にある法人などを含みます。)にある場合
ロ 旧居宅を売却した年の前年及び前々年に次の特例を適用している場合
(イ) 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例(措法31の3)
(ロ) 居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除(措法35①)
(ハ) 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)
(ニ) 特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)
ハ 旧居宅を売却した年又はその年の前年以前3年以内における資産の譲渡について、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例(措法41の5の2①)の適用を受ける場合又は受けている場合
ニ 売却の年の前年以前3年以内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額についてマイホームを買い換えた場合の譲渡損失の特例を受けている場合
(注) この特例と住宅借入金等特別控除制度は併用できます。
4 特例の適用手続
(1) 損益通算の場合
確定申告書に次の書類を添付する必要があります。
イ 「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)」
ロ 「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5用)」
ハ 旧居宅に関する次の書類
(イ) 売った資産が次のいずれかの資産に該当する事実を記載した書類
A 自分が住んでいる家屋のうち国内にあるもの
B 上記Aの家屋で自分が以前に住んでいたもの(住まなくなった日から3年目の年の12月31日までの間に譲渡されるものに限ります。)
C 上記A又はBの家屋及びその家屋の敷地や借地権
D 上記Aの家屋が災害により滅失した場合において、その家屋を引き続き所有していたとしたならば、その年の1月1日において所有期間が5年を超えるその家屋の敷地や借地権(災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売ったものに限ります。)
(ロ) 登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年を超えること及び面積を明らかにするもの
(ハ) 売ったときにおいて住民票に記載されていた住所と売った資産の所在地とが異なる場合その他これらに類する場合には、戸籍の附票の写し等で、売った資産が上記(イ)のAからDまでのいずれかに該当することを明らかにするもの
ニ 新居宅に関する次の書類
(イ) 登記事項証明書や売買契約書の写しなどで購入した年月日、家屋の床面積を明らかにするもの
(ロ) 年末における住宅借入金等の残高証明書
(ハ) 確定申告書の提出の日までに買い換えた資産に住んでいない場合には、その旨及び住まいとして使用を開始する予定年月日その他の事項を記載したもの
(2) 繰越控除の場合
次のことが必要です。
イ 損益通算の適用を受けた年分について、一定の書類の添付がある期限内申告書を提出したこと。
ロ 損益通算の適用を受けた年分の翌年分から繰越控除を適用する年分まで連続して確定申告書(損失申告用)を提出すること。
ハ 確定申告書に年末における住宅借入金等の残高証明書を添付すること。
[令和2年4月1日現在法令等]
(措法41の5、措令26の7、措規18の25、措通41の5-5、41の5-7、震災特例法11の7)
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